大人なので、自分の守備範囲外に読書を広げる活動もしなきゃなと手に取った一冊です。
ききなれない「地棲魚(ちせいぎょ)」というキーワードと、死を連想させる髑髏。そして人魚を連想させる下半身と青と緑の美しい表紙が目に留まりました。
「伝奇ホラー・サスペンス力作長編」と銘打たれたジャケで選んだ初挑戦の作者の作品です。
未知の能力と不可解に続く殺人事件の秘密が気になり一気読みを誘う
<あらすじ>
片桐真治は亡母の遺品から、行方不明だった母の弟・赤石の住所を知った。そこは過去、凄惨な殺人の現場となっていた房総半島奥地の山荘だった。翌日友人・貫井の勧めで、片桐は赤石を訪ねるが、赤石の態度に奇妙な違和感を感じる。帰途、自動車内でムカデに襲われ死にかけた片桐が戻ると、自宅が放火され、留守番をしていた貫井の妻と娘が惨殺されていた―。さらに一族の宿命の「敵」は奇怪な力で大量の死者を出しながら、片桐を狙う。彼に逆転の方法はあるのか!?第19回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した著者が満を持して放つ伝奇ホラー・サスペンス力作長編。
感想:★★★
子持ちだけど時間捻出して3日で読破しました。
序盤のバイク事故からの描写が結構脳裏に焼き付いて「この理不尽な事故はなぜ?」という思いがページをめくる手を早めたのかも。
そうじゃなかったらだらだら読んでしまったかもしれない。
序盤迄は人魚以前に指で年齢を感じてしまう特殊能力とかさらにその力の隠語「矢と的」とか出てきて、イヤーな感じというよりは特殊能力のにおわせが続く。
まぁ、ゲデモノ食いの種まきも序盤に行われてたと思うと、いい感じに伏線を散らばらせてるなって感じ。
貫井の家族が殺されてからは感情移入も手伝って物語がどう進んでいくんだろうってワクワクしながら読んだ。
ムカデを車内に入れられてるのとかも事故後記憶があいまいになることでつっこみたい部分をぼかしながら、親戚との距離を取りあぐねる主人公のどっちつかず感がじれったくて途中でやめられない感じに。
終盤は待ちに待った対決と、キメラ祭りでいい感じに。
非日常とはいえ、おじさんちの近くにピクニックにいくのは伏線回収に必要やけどちょっと違和感あったかな~。
でも、そんなんどうでもいいくらい「真実はよ!」みたいな感じで読み進んでしまった。
地棲魚の成り立ちとかは個人的にありそーって感じで好きでした。房総半島とか近くに住んでたら郷土史とか調べてしまいそう。
わくわくする考察。そして、クラゲとか「不老不死」の概念とか視点をの新しいものを得た感じ。
面白かったです。
嶺里俊介さんの過去作品「星宿る虫」も読んでみたい
面白かったけどこの作者の本はこれで終わりかなと思ったんですが、第19回ミステリー文学大賞新人賞を受賞した「星宿る虫」ってタイトルがタイトルの時点で好きなので探してみよう。
また読んだらレビューします。
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