旅のおともに、一冊の積読に手を付けました。
母になって、どっちの目線も持てるようになった今、楽しめそうだなと。
異常な母(俗にいう毒親)と娘、そして父の世界が描かれていて、息が苦しくなりました。
あー、家族って、こうだよな。キラキラ、楽しい、嬉しいなんて、人生の中の何パーセントなんだろう、と。
ずっと母の気持ちはわからない
<あらすじ>
女子高生が自宅の中庭で倒れているのが発見された。母親は言葉を詰まらせる。「愛能う限り、大切に育ててきた娘がこんなことになるなんて」。世間は騒ぐ。これは事故か、自殺か。…遡ること十一年前の台風の日、彼女たちを包んだ幸福は、突如奪い去られていた。母の手記と娘の回想が交錯し、浮かび上がる真相。これは事故か、それとも―。圧倒的に新しい、「母と娘」を巡る物語。
感想:★★★
ミステリ枠にあるので、本のしかけはさておき、母と娘それぞれの視点に翻弄された一冊でした。
私の感想は「ああ、おばあちゃんがいれば」なので、母的な要素が私は強いのかもな。
人生の中で、疲れたときに依存できる存在はすごく必要よね。
それが行き過ぎると周りから見るとバランスを崩してしまうけど。
人生は、自分軸だけど、家族軸で見るといろいろ難しいな。
どれが幸せで、どれが不幸かなんて、本人の主観で出来上がるもの過ぎてそれぞれの視点がある。
私は正しさとかは振りかざすタイプだけど、それだけが正しいわけじゃないのを家族から学んだから、まあ家族がいてよかったけど。
息苦しい家族という檻
私はずーっと、家族の中の娘で息苦しいと感じる時期が長かったけど(家族は好きだったし好きだけど)、母もまなそうなんだっていうのは、子どもを産んでから気づいた。
そのがんじがらめになる逃げられない子どもという存在からは「母としての当たり前」「母としての愛情」を私もそうだったように四六時中求められる。
時代によっては、それを父親が持たずに母だけに負荷がかかってたから、本当に自分の母親世代は大変だと思う。
でも、過ぎ去る。それらは、幸せな家があったように、暗い家やトラブルがあったように、過ぎ去る。
嫌いになってもずっと続いてしまう関係
家族は気軽に「嫌いになれる」存在だと思う。
嫌いになっても、相手は離れていかない、そう思ってしまうし。
実際そう信じている人が多い。時代が変化して、離婚も増えて、その我慢が減ってなお、大体、家族みんな、子どもも、母親も父親もなにかしら我慢して一緒に暮らしてる。
そして、時間が過ぎ去れば、一緒に笑える。
そんな存在だと思う。
ミステリと深読みしたら、いろんな解釈ができるけど、私は、いろいろあったけど、今はなかいいよーみたいな、自分と作品を重ねてしまった。
もしかしてそれも、ミステリーかもだけど。
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