怪物だーれだ。
予告で見てすごく気になっていた映画を観てきました。
普段、映画が終わるとばーあああああっとSNSでつぶやいてしまうんですが、これは面白かったにも関わらず、そんなことができない特殊な作品でした。
それは「怪物」が私かもしれないという気持ちが私の中に生まれたからかもしれません。
美しく、悲しく、とてもはがゆい映画だった
感想:★★★★
すっごく、見る人に余白を残す映画でした。
だから、すごく考えてしまうし、立ち止まって自分のことを考えてしまう。
普通の家庭、普通の学校の中に潜む怪物。
登場人物それぞれの視点から見るほどに、その正体を勘ぐってしまいます。
ちなみに私が一番怪物だと思ったのは校長先生。
怖すぎでしょう。悲しい人だなと思いました。
そして「そんな誰にも理解されないものは幸せじゃない、幸せは誰にでも感じられるもの」っていうようなことを言いきるシーンがあるんだけど、「それは違うだろ」って思いながら迫力がありすぎて「え?そうなの?そういう視点もあるの?」って飲み込んでしまった。
それぞれの世界線で、それぞれの幸せがあり、毒があり、それがまざりあって火になり、嵐にのまれていく。
エンディングの美しい景色と音楽で、そこまで曇ってどろどろの雨風の中で展開されていた物語が一気に晴れて一瞬で虹を見せられたように昇華されていく。
2人の生まれ変わりが叶ったのか、そこすらも視聴者にゆだねるような余白のある美しい映画でした。
モンスターペアレント×先生×生徒
同じ場所を共有していない3者が、それぞれの見ている視点から物申す。
これ、今私が丁度子どもが小学生になって、直面している問題そのままで、ぞっとしました。
気をつけないと、私も見たいものしか見ない母親になるなと。
建設的な話をしたければ、第三者の視点が多角的に入ることがすごく重要になる。
先生ももっていきたい方向があるし、子どもは親に見られたくないものももできてくるし、親は自分の子どもしか見られない温度になりがち。
そんな三者が三つ巴するんだもの。
嵐も呼ぶよ。
問題はそこに多数の嘘が混じっていくこと。
さらに、噂(本当)も。
それが世界をより混濁させる。
何を信じたらいいのか、自分が見たい世界はどこにあるのか、正しい世界とは、どこの世界線に存在するのか。
よく「この子たちがよりよく生きやすくするために」って先生に言われることがあるんだけど、本当はそこだと思う。
そして、大人は、完璧じゃない。成長して、大人になって、家庭を持っても、完璧じゃない。破綻している部分も多々ある。
そこのひずみに、子どもたちは落ちてしまう。
きをつけようと思いました……。
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