コロナ禍時代、なんとなく続いてきた風習などの簡略化や行わない選択もでてきました。
結婚式や、お葬式。
最低限で、身内だけ。
人生の節目を、たくさんの人に見守られながらという当たり前だった行事がそうじゃなくなっている現代、これからの新しい形が出てくるのかなとも思います。
※コロナ禍の葬儀についての内容はありません。コロナ禍で、最小限しか呼べないお葬式を経験して、再度プロセスや送り方に関して私が考えるきっかけをこの漫画にもらった感じです。
きちんとした手順があるのはなんのため?
<あらすじ>
仕事に追われる日々を過ごす梵 孝太郎(そよぎ こうたろう)に突如訪れた母親の死。
初めての葬儀に戸惑う梵の前に現れたのは、弔いのプロフェッショナル・嗣江宗助(しえ そうすけ)。
故人・遺族・参列者の想いが交叉する、弔いの場の裏方「葬儀屋」の世界を新鋭が描き出す――
命の終わりのヒューマンドラマ。
感想:★★★★
最近大人になって身内のお葬式に触れた身としてはすごくリアルでよかった。
よくわからんネット記事より、身内がなくなって何をしていいかわからない人にこの漫画読んでもらった方がわかる気がする。
私も35歳でいい大人やけど、お葬式のことなんて、何もわからんかった。
ルールも、しきたりの意味も。
そんな「わからんもん」に押し流されるようにして、終わっていく。
そこに「故人をおくる」心の余裕や、思いを振り返る隙なんてなかなかない。
こんな形式があるのに、火葬場で骨を拾うまで実感がわかずに、心が全く追いつかないままお別れになる人、わたしだけじゃないんじゃないかな。
悲しいのに、ちゃんと悲しめないっていうか。
そういう経験もあってか、この1巻は主人公の母親が亡くなってっていう設定もあってか、すごく、共感や、胸にぐっとくる部分が多かった。
オプション的な涙じゃなく
あと、関係がちょっと遠い人のお葬式で感じる部分も、主人公が後半葬儀屋になってからする行動にも引き込まれて読んだ。
「とりあえず泣く」ことへの自分の中の疑問。
場に流されて、泣いた方が正直、自分も「ちゃんと悲しめた」「その場でお別れを受け入れられた」感がでて、すっきりする部分もある。
同時に、茶番劇の域を出んなっていう本音も、ちらほら見え隠れするわけで……。
「泣くことを簡単に美徳にするんじゃねえ!」
って嗣江さんの言葉は、ガツンと刺さったなぁ。
感動ポルノ、私がすっごく苦手なこの部分を、この漫画は描いてくれてたから、すごく共感できた。
寄り添う、理解する、それって、言葉のシンプルさ以上に、すごくすごく、難しい。
多分、親族でも。
答えを簡単に書かない漫画はまた読みたくなる
人の死や別れを扱う漫画だからこそ、答えは自分の中で見つけるしかないよな。
この1巻を読んだ私の感想が、これ。
いろんなパターンは書いてあるし、これからも書かれていくんだろうけど、例えば、自分の大切な人が亡くなったときの「お葬式」のイメージは、まだ持てない。
そういう意味で、答えは出ない。
あと、それと付随して、梵君の「仕事」に対する向き合い方も、答えを手繰り寄せるようアシストしていくものの、すぐ出ていない。
新人や、仕事に葛藤していたころの自分が懐かしいな、と思いながら読んだものの、じゃあ、嗣江さんほど仕事への自分なりの向き合い方やスタンスが持ててるかといえば、そうではない。
だからこそ、その2つの視点で自分には新鮮だったし、小手先のテクニックやノウハウを書いてくれる漫画よりは刺さったのかもしれません。
んー、おもしろかった。
葬儀屋という人生で通る道の漫画は面白い
そんな感じで、最近葬儀屋漫画も気になってます!
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