あなたの子どもが人を殺したらどうしますか?映画「許された子どもたち」の感想

実は、映画が大好きだ。

でも、この4年間ほど、好きな時に好きな作品を映画館で見ることができなかった。

子どもが産まれたら、それも仕方ない。

でも、これだけは映画館で絶対見たいと思う作品を見つけたので見に行くことにした。

タイトルは、「許された子どもたち」。

あなたの子どもが人を殺したらどうしますか?

私は、どうするのだろう。

答えがでなかった。

見たら何か答えが出るのかなと、どう描かれているのかなと、鑑賞した。

目次

自分がどの立場で見るか

<あらすじ>

少年たちは同級生を殺した。だが、裁かれなかった。
とある地方都市。中学一年生で不良少年グループのリーダー市川絆星(いちかわ・きら)は、同級生の倉持樹(くらもち・いつき)を日常的にいじめていた。いじめはエスカレートしていき、絆星は樹を殺してしまう。警察に犯行を自供する絆星だったが、息子の無罪を信じる母親の真理(まり)の説得によって否認に転じ、そして少年審判は無罪に相当する「不処分」を決定する。絆星は自由を得るが、決定に対し世間から激しいバッシングが巻き起こる。そんな中、樹の家族は民事訴訟により、絆星ら不良少年グループの罪を問うことを決意する。

果たして、罪を犯したにも関わらず許されてしまった子どもはその罪をどう受け止め、生きていくのか。大人は罪を許された子どもと、どう向き合うのか。

感想:★★★★★

鑑賞後にしゃくぜんとしないぞわぞわしたものが残る映画が好きな私としては、まさにドンピシャに好きなというか、残る映画だった。

見終わった後の自分の気持ちは「許せない」「裁かれるべきだ」という、SNSや誹謗中傷している傍観者と同じ感情。

「やはり、許されるべきではない」

と私は思ったし、幸せそうな様子は見て許せないと思った。

罪と正義

事件(罪)が起きた後、登場人物は、それぞれの正義をもって子どもたちを取り囲む。

●弁護士の正義
●警察の正義
●母親の正義
●被害者家族の正義
●同級生としての正義
●傍観者(SNSや世間)の正義

それぞれに掲げた正義が渦巻き、当事者はその強い渦の中にいる。

そして、その当事者(加害者)の心の中は見えない。

まるで台風の目の様に、シーンと静まり返ったままだ。

親子愛の罪深さ

母親は嘘をついて、そして息子と夫を支配して思うように動かそうとする。

自身の考える息子の最善のために。

そこにはきっと二つの道が合って、

●大切だからこそ守る
●大切だからこそ罪と向き合う

自分なら、どうしただろうと考えた。

私は、映画の展開を見ながら、守れないと思った。

そしてこの判断は、過去にもしたことがあると。

弟が非行に走った時、信じたり、守ったり、私はできなかった。

でも、自分の母は信じて向き合っていた。

過剰に守るでもなく、突き放すでもなく。

何故だろうという気持ちがずっとあって、今日、今度は母になってみたけど、私は子どもを守るという選択はできないかもしれないと思った。

私は、なにかあったら裁かれるべきだし、それが、当事者にとっても、被害者にとっても最善だと思ってしまう。

でも、加害者の母真理は、自分と家族の世界を守ろうとした。

そんな中、「私ならその状態に耐えられない、逃げる」と思っていたら案の定父親が離脱した。

それも、すごくリアル。

子どものためにはどれが正解?

母と子の、結びつきは、私にとって異常に見えた。

子どもと長く過ごし、年を重ねるとああいう感覚を持つことになるんだろうか。

母子の関係が強固になったのは「いじめ」から守らなければ、からより強くなった気がする。

そもそも「いじめ」からは守るのが正解なのか、戦うのが正解なのか。

私は戦ってくれたことが親への信頼につながったけど、どうしても「いじめ」含めた子ども同士の関りは親が介入できない部分もある。

見えない部分も。

もしかしたら加害者になるかもしれないことも含めて。

そんな自分の知らない部分が出て来たら、自分はどう向き合えるだろうか。

そんなことを考えながら、見ていた。

罪から逃げても罪はなくならないし罪と向き合っても罪は消えない

罪は消えない。

樹君は戻らない。

その上で未来を選んでいくしかない。

でも、無罪になったキラくんが幸せそうかというとそうじゃない。

でも、映画を見ながら笑っているのも、楽しそうにカラオケしているのも許せないと思ってしまう自分がいた。

罪を償っても、戻らない。

じゃあどうするか。

生きる、生きる中で忘れられない傷を時々思い出して、考える。

「後悔」はどう示せばいいのか。

そもそも、いじめもそうだけど、「わかる」人は、罪になるまでことをすすめない。

「わかる」人になるまで、時間がかかったり、家族をもったり、極論、同じ目にあわないとわからないんじゃないか。

「わかる」きっかけに、裁かれると触れられるかもしれない。

今回の映画でキラくんは、それを逃してしまった。

彼は、いつか「わかる」のか、わからないまま、幸せになれるのか。

「面白かったー」で終わらない、いい映画でした。

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1986年高知生まれの五黄の寅年、3児の母。 転勤族の妻でうっかり新潟で家を買って辞令を震えながら待つ身。 家買ったら転勤のジンクスに負け、両親、義両親に続き旦那が本州から離脱。 2023年4月から「絶対に倒れてはいけない3人ワンオペママ」ライフがスタート。鼻血。
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この記事を書いた人

1986年高知生まれの五黄の寅年、3児の母。
転勤族の妻でうっかり新潟で家を買って辞令を震えながら待つ身。
家買ったら転勤のジンクスに負け、両親、義両親に続き旦那が本州から離脱。
2023年4月から「絶対に倒れてはいけない3人ワンオペママ」ライフがスタート。鼻血。

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