「知るということは、知らないことが増えるということなのだ。知らないことが増えると、人はもっと知りたくなり、それ故、もっと知らないことが増えるのだ」
数年前に出て即買ったけれど、563ページという重たさとミヤザワケンジ色の強い世界観が何度も私を眠りにいざない、なかなか読破できなかった一冊。
一言でいうと、宇宙みたいな作品でした。
うん、すごいよ、すごいけど、やっぱめっちゃ寝落ちした。
でも面白かったです。
★★★★
いやーでも面白かった。
高橋源一郎の世界観はつかめなさそうやのに、
男性独特の現実的な描写がところどころ丁寧にされちょって、
「ほう、その設定でどう詰まっていくのか」と思ってよみよったら、
違うステージの話をしよって酔わすような言葉でぶった切って、まったくよくわからんなるがやけど、やたら言葉が気持ちいい。
よくわからんけど気持ちいい…で終わる。
そう、雑やけど、冷たいけどセックスがうまい男みたいなかんじ。
振り回され加減が本当に恋愛っぽい。
だからハマる。
宇宙の果てまでひとりで行く話はスプートニクを思い出させながら私を引き込んだけど、
いつの間にか人間がバグってくる話になって、
「あの」女が言った。「わたしたち、死人なんです」
女は気の毒そうに言った。
「でも、心配しないでください。何も、問題いありませんから」
その点については、意見が分かれるところだった。大三章 真夜中の銀河鉄道 P396
となっちょったり。
死人が混在する現在の話に。
そしてなんかこれは新しい「人種」にたいしての偏見や批判を見ゆうみたいでふと現実に連れ戻されたりするという。
ふいにそういうことを考えさせられたり、頭の中を蹂躙されて、そして子守唄をうたわれて寝落ち…
で、はさみはさみ、銀河鉄道とでジョバンニが繰り返し出てくる。
こういうループが563ページ続く名作でした。
話の核は、一番最初の、「知らないことを知ると、知らないことをしり、もっと知りたくなる」ということ。
まるで逆マトリョーシカ。
どんどん世界が広がっていって、遠くに行ってしまう感じ。
小説というか、これは”ブンガク”ながやと思う。
振り回されると知りながら、また新刊でたら手をのばしてしまうんやろうなぁ…
すごい本でした。
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