ああ、人生という喜劇!踊るのか、踊らされるのか「燃えよ、あんず」藤谷治

月に一冊、同じ本を読んでオトコとオンナでどう読み方が違うかを楽しむ書評コラボ。

本好き同士毎月順番に一冊本を決めて一緒に読んで感想をシェアているコラボの新年一発目です。

前回はは私のチョイスで億男。

【オンナノヨミカタ】

お金は手段か目的か、それとも全てか「億男」川村元気

【オトコノヨミカタ】

死ぬときが人生最大の金持ち?:川村元気『億男』【コラボ書評】

そして、今回は、つぶあんさん(つぶログ書店)のチョイスでこちらです。

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偶然出会った人たちが、ひょんなことから人生を変えて(曲げて)いく。その先は?

<あらすじ>
人生、何が起こるかわからない(本当に)

下北沢の小さな書店・フィクショネスには、一癖も二癖もある面々が集っていた。癖の強い店主、筋金入りの「ロリータ」愛読者、大麻合法を真面目に主張する謎の男、大手企業で管理職に就く根暗な美形男性、そして、決して本を買わずに店で油を売り続ける、どこか憎めない女子・久美ちゃん。
そんな彼女に新婚間もなく不幸が訪れる。それから十数年。ある日、久美ちゃんがお店にふらりとあらわれた。同じく懐かしい顔の男を伴って――。

感想:★★★

まるで久々に会う友達とお茶をしている時にがっつり聞く話のような壮大な物語でした。

小説よりも近く感じる、ドラマチックで不思議な物語。
しかし、それぞれ見えない部分が小説故に見えてくるのでがんがん引き込まれるように読んでしまいます。

上手くできすぎているようで、なんかリアル感のある不思議な話。

岡山のつぶあんさんにすすめてもらったけど、実は今里帰り中の近所のTSUTAYAが一番売っているそうでびっくり。

その、変なリアルさ、ありそう、めんどくさそう、その向こうにある人生喜劇感が、高知の人に親近感を持たせるのかなと思いました。

実際高知の友達の話は喜劇じゃなくて悲劇で終わることがほとんどやけど……。

人の人生を曲げるのは実はたやすいこと、そしてみんなやってる

この物語では、由良という青年が、人の人生をこっそり支配してあざ笑うのが趣味という性格の悪い美男子で書かれていました。

この物語の分かりやすいヒールというか、捻じ曲げてくるやつ的な。

典型的マイペースこじらせ男子で、モテるけど、自分の領域にひとをあまりいれたくないタイプというか。

そいつがしかけた罠で、ただ素直でいい子を不幸にしてフェイドアウトしてやろう的な話ですけど、おもしろいのは、まあ、わざわざ手帳をのこしたりそこで自分と向き合っているところですね。

舞城王太郎の物語とかだと、これが軽く自覚あるけど、さも「私はなんにもしてないもん、あいつが勝手に……!」みたいなキャラとして出てくることが多い。

そういう意味で、分かりやすく、ただ揺らされやすい善良な人を揺らして人生を自分の好きなようにしようとするやつが見えやすい小説でした。

なぜ人の人生に干渉するのか

これは、由良の場合もそうやけど、どうでもいい上に、ちょっとおもしろいからですよね。

この物語は

●善良な悪意のない子
●おもしろいから人の人生を狂わせようとする人
●善良な子の幸せを願う人々

でうまく役者がそろってる。

そこにドラマを感じるし、演劇を見ている様だし、すくいもある。

現実は、善良な奴が口が上手い奴に踊らされてピエロみたいに踊ることになるなんてざらなわけで。

救いがない。

そういう意味では救いのある小説でした。

個人的には救いのないものの方が好きなので、★3つです笑

私も由良タイプかな~笑

いや、めんどくさがりだからフィクショネスの店長タイプかも。

407Pのうち、個人的には最後の獅子虎のエピソードの部分が一番好きでした。

ハッピーエンドで終わっていたら、もうこっきりさんでしたが、この謎の老人のエピソード部分が好きだったので、藤田治さんの他の作品も読んでみたいと思えました笑

オトコノホンノ読ミ方

私はひねくれた読み方をしましたが、この人生劇をつぶあんさんはどう読んだのかな笑

オトコノホンノ読ミ方、つぶあんさん(つぶログ書店)の書評はこちらからどうぞ!

愛すべきぽんこつたちの物語『燃えよ、あんず』

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1986年高知生まれの五黄の寅年、一児の母。 転勤族の妻で今は佐渡島のターン。
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