好きなことをして生きてきた小松さんにやってきた、「春」のお話し。
絲山秋子作品は大好きで、ほとんど読んでます。
今回はこれ。
★★★★
あらすじはこんな感じ。
うさちゃんっててっきり恋のお相手かと思いきや、飛車のように角ばった顔のおじさんでした。
ネトゲに夢中なサラリーマンと、マイペースな非常勤講師の2トップのおじさんが繰り広げるお話し。
遠いところにある話が絡まってまとまる様はさすがです。
恋に関してはしっとりと落ち着いた展開でおっとりしたテンポで、ドキドキのしがらみもありながら、ほほえましく見えました。
仕事、今後、人とのかかわりに関しても考えさせられる描写がしばしば。
すとんと入ってくる言葉遣いが、飾らないのにきれいで好きです。
ほんとのことなんてどうでもいいんです。都合のいい記憶が用意されてたら誰だってそっちを選んで書き換えるんだから。
#小松とうさちゃん #絲山秋子
p89
技巧派だなぁ…期待を裏切らない面白さでさらっと読めました。
この二人のコンビはシリーズ化してもおもしろそう。
★四つの理由は、「小松とうさちゃん」のあとにあった「ネクトンについて考えても意味がない」というお話がすっごく良かったから。
瞑想をしている女性と水クラゲの精神が海の中で出会う話。
須っごく良かった。
「あと何年生きるのか、十年なのか、二十年なのか、それとも一年しかないのか、人間の寿命はさっぱりわからないの。それで、ちゃんと最後まで食べていけるのか、これからどうして生きていったらいいのか、とても不安になてしまうことがあるのよ」
「それでもベニクラゲよりはましかもしれない」
「どういうこと?」
「死なないんだ」
「そんな動物がいるの?」
「あいつらは、老いてくるとポプリに戻るんだ。ポプリっていうのあサンゴとかイソギンチャクみたいに海底にくっついているベントスなんだけど、そこからまた若いクラゲになる」
「若返るってこと?」
「そう、条件さえ良ければ何度でも若返る。それでもし、君や僕みたいに精神があったらやってられないと思う。だって君が言ったような悩みが永遠に続くんだもの」
「ああ、それはつらい」
南雲咲子は言った。ネクトンについて考えても意味がない P149.150
悩むときは、そのことばかりを考えてしまうけど、角度を変えると、とたんに「大したこと」じゃなくなったり、
それよりましだったりすることが多々ある。
人は考えすぎる生き物だと思う。
クラゲや海の生き物の思考回路に、悩みの中の瞑想中に触れることで彼女の気持ちが少し救われた感じがする物語だった。
そして、なんでか私もそれで少し、気持ちが楽になった部分があった。
いろんな生き物がいて、人間がいて、いろんな人間がいて、いろいろと考えさせられるけど、
いろんな生き物の数に比べたら人間なんてそこまで多い人種ではない。
自分が人間として生きているからついつい「人間」中心に考えてしまうけど、
「生きる」というカテゴリで考えたら、悩みの大半はどうでもいいものの気がする。
いいお話にあえてよかった~
小松さんの話とは遠い物語やったけど、良い出会いでした。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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