ファンタジーはとうの昔に卒業したと思ってましたが…
うわーん、すごいよかった!!!!
この本に出会えてよかったよ。
一日で読破したけど、まるで二週間ぐらい海外の小さな町でじっと本の中の様子を見ていたみたいな、旅にでちょったみいな読後感でした。
これです。
【素朴だけど忘れられない。濃厚で、あとはすーっと引いていく繊細なミルクシャーベットの様】
ある日、若い科学者クリストファーが姿を消した。彼は、ひたすら「光の減速器」の研究を続ける、ちょっと変わった青年だった。失踪の際、彼は同僚のチャーリーにある原稿を残した。そこには、不思議な物語が綴られていた。彼が残した物語は、真実か、それともまったくの空想か。
感想:★★★★★
すごい久しぶりに★5!!
これは本棚にほしい一冊。
いつか子供にも読んでほしい。
翻訳本は久しぶりに読んだけど、すいすい入ってきてとても読みやすかった。
物語の中にある、物語。
しかもその中に小さい世界があるという、割と凝ったファンタージー。
小さな世界を作るのが得意な醜いアーティストの劣等感、恋、憎しみ、そしてずっと欲しがっていた、「愛」。
好きな人と、その恋人を彼がつくるスノードームの中に閉じ込め、恋敵の息子を育て、
葛藤しながら、慈しみ、憎み、支配し、そして色々な出来事を受け入れていく。
人の感情の変化が垣間見えて、醜いところから、紆余曲折して、愛に何度もたどり着くがやけど、
その不器用さとか、すれ違いにどこか共感しながら読み進めてしまう。
人とかかわるには、
「人には見せないけど、ぱっと生まれる感情」→「ダメだ、よく考えろ」→「行動、言動」
と個人の中で波があるけど、
それが全部見えるのも、物語のいいところやな~。
よくもそんなことを!わたしの承諾もなしに!神の許しも得ずに!
エックマンは目を背けた。複雑な感情が胸に渦巻いている―怒り、苦痛、心配、不安、憤り、恐怖、恥、屈辱―そう。屈辱だ。彼らはわたしに屈辱を与えた。それはまるで……家に帰ってきて、妻が愛人とベッドにいるのを見つけたようなものだ。夫婦のベッド、自分のベッドに、だれかほかの人間が妻といっしょに寝ていたのだ!不道徳で不法で無礼な行為―とんでもない屈辱、信じられない不敵なふるまい。いままで彼らのために、あれだけいろいろしてやったのに。あれほどしてやったのに!
P334 予期せぬ出来事
その繊細な感情の変化や行動、思考に割といちいち共感できて、優しく心に残っていく。
とっても良い本でした。
小学生高学年位で出会ってほしい良書!!!
でも大人もしっかり楽しめる。
このタイミングで読めてよかったな~!
超、おススメです!
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