SNSネットでの繋がりの薄さにのまれる現代人。アリ地獄のような現代「静かに、ねぇ、静かに」本谷有希子

静かに、ねぇ、静かに

月に一冊、同じ本を読んでオトコとオンナでどう読み方が違うかを楽しむ書評コラボ。

本好き同士、毎月順番に一冊本を決めて一緒に読んで感想をシェアしているつぶあんさん(つぶログ書店)とのコラボです。

前回はつぶあんさんのチョイスで、「眠れる美女」を読みあいました。

【オンナノ本ノヨミカタ】

老いと若さと生と死と性と「眠れる美女」川端康成

【オトコノ本ノヨミカタ】

文豪が描く歪んだ営み:川端康成『眠れる美女』

今回は、私のチョイスで割と癖の強い本谷有希子さん。

ワクワクぅう~

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まじでありそうでヒヤヒヤ!ページをめくる手が止まらない

芥川賞受賞から2年、本谷有希子が描くSNS狂騒曲!海外旅行でインスタにアップする写真で“本当”を実感する僕たち、ネットショッピング依存症から抜け出せず夫に携帯を取り上げられた妻、自分たちだけの“印”を世間に見せるために動画撮影をする夫婦――。SNSに頼り、翻弄され、救われる私たちの空騒ぎ。

感想:★★★★

まじで、待って、これ私?って3つとも全然違うタイプの人が主人公なのに入り込んで読んでしまいました。

帯にSNS狂騒曲とありましたが、まさに。

3編からなる本作は、LINE、ネットショッピング、美容モニターと現代の身近過ぎる題材に喰われた人たちの物語。

すっごいぞわぞわします。

本当の旅→薄っぺらい世界でのつながりが最後でリアルになる

マレーシア、行ったことあるんですよ。

しかもこんな感じのノリで。

大学生の頃、アジアのどこかに旅行できるツアー!みたいな格安旅券をギャル友達と買って。

そして物語の中みたいな屋台とかでご飯食べて、だらだら歩いたりして、オランウータン観に行きました。

そんなんをね、すごく思い出しながら読んでました。

これはね、客観的に見たらウケる!みたいな物語やけど、実際こんなノリで海外行く人めちゃくちゃ多いと思う。

「天井高いね」
「うん、高い」
「ヤバいね」
「ヤバい、ヤバい」
「っていうか涼しくない?」
「涼しいよね」
「感動。涼しさに感動」
「ねえ、ていうかここ、ガイドブックの写真と一緒じゃない?」
「すっげぇ。マジで一緒。感動」
そんなことを口にしながら、僕らは洞窟内を歩いた。足場はコンクリートで一面塗装されていた。観光客の増加を狙って諦めたのか、ところどころにおおざっぱに色の塗られた、宗教とかが絡んでそうな石像が放置されていた。死んだ家畜を高々と掲げている男の像。跪く女の像。頭から胴体が真っ二つに裂け、内臓が飛び出している男の像。

本当の旅P36

会話の中身がなく、ガイドブックだよりで、ガイドブックの場所に行き、同じ構図で写真を撮る。

カンボジアに行ったとき、映える写真を撮るために朝日が昇る時間に合わせ早起きしてでかけたこととか、ハワイのシェラトンワイキキの部屋から見えるダイヤモンドヘッドの写真をとりあえず撮ってしまう性とか、もう、本当の旅じゃなく、なぞる旅になってる

でね、その何が恐ろしいって、SNSとかにあげるデータとかしか残らないんですよね。

まじで中身のない旅になるから。

風景や街並みよりもスマホ見てるから。

ドキッとしましたよね。

そして、日本人危機管理能力なさすぎだから……。

本当の旅になるって言うのも流石!流石本谷さんです!

すっごい薄っぺらいのにすっごい面白かった。

奥さん、犬は大丈夫だよね?→生と死がゲームのキャラばりに軽い

ネットの何が怖いって、依存症になることかもしれません。

が、怖いねーとか言っているけど、すでにあなたも依存症化も。

え?私はツイ廃だし、かなり依存気味であると思う。

きゃははははは。

でもまだないとほっとするときもあるから、できるだけ上手く付き合っていきたいなと思っています。

とか書いちゃうくらい、これを読んだら怖くなる。

文字通り、ネジがね、飛んでしまう。

「考え事って?」
彼は私をちらっと見る。「別に。大したことじゃないけど」
「考え事って?」と私はもう一度訊く。
「別に。ただ十年後、周りに誰が残ってるんだろうなって、なんとなく考えてただけだよ」
「私の周りには、誰も残らないって言いたいの?」
旦那は答えない。曖昧に首を動かして煙草を踏みつけると、のろのろとキャンピングカーのドアへ向かい始める。

奥さん、犬は大丈夫ですか? P104

人は、支配されると優先順位が変わってしまう。

それは、そのまま人生を壊すことにつながる。

あー、怖い。怖い。

でぶのハッピーバースデー→底から這いあがれないとあがいている人へ

何度か無職になって職安に通って、使える資格のない自分の価値のなさを痛感したことのある私は即、感情移入して読み始めました。

はぁ。

主人公のおくさんは、ずーっと旦那さんにでぶって呼ばれてて、底辺扱いされてて、そして、そして愛されてる。

もう、臭そうで、醜いのにすごく愛おしく狂おしい話ででもハッピーエンドではなく地獄に進んでいく感じがさすがで発狂しそうになった。

一緒に歩く時、夫はよく「のろまな動物を連れ歩いてるみたいだ」と口にしたが、人から見れば、洋服を着せられた痩せた猿がその動物のリードを持っているようにしか見えないだろうと、でぶはいつも思った。
でぶ達は自分達に合ったマシな働き口をそれぞれ見つけようとした。面接をいくつも受け、それからすぐに自分達にそれほど合っていない働き口も探し始めた。

でぶのハッピーバースデー P140

あがけばあがくほど落ちていく絶望や、うまく回りだしたときも、このレールからはずれちゃいけないんだっていう緊張感がある。

これは、今の私の人生もそう。

読んでて、ガンバレ!と思ったし、同じようにガンバレ!と自分にも思った。

オトコノホンノ読ミ方

3つともカラーが違うけどスゴイ作品。

実に私好みでした笑

つぶあんさんがどう読んだか気になります!

ピースなバイブスでポジティブな感じで『静かに、ねぇ、静かに』【コラボ書評】

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1986年高知生まれの五黄の寅年、一児の母。 転勤族の妻で今は佐渡島のターン。
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静かに、ねぇ、静かに

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