月に一冊、同じ本を読んでオトコとオンナでどう読み方が違うかを楽しむ書評コラボ。
本好き同士、毎月順番に一冊本を決めて一緒に読んで感想をシェアしているつぶあんさん(つぶログ書店)とのコラボです。
前回は私のチョイスで「ブラック・チェンバー・ミュージック」を読みあいました。
※私の感想はネタバレありです。
【オンナノ本ノヨミカタ】
https://sakamotodappantyu.com/archives/urakkutyennba-myu-jikku.html
【オトコノ本ノヨミカタ】
https://ytkglife.net/black-chamber-music-colab/
今回はつぶあんさんのチョイスで「インドラネット」です。
コロナ禍の今だからこそ海外の怖さと魅力をダイレクトに感じた
<あらすじ>
この旅で、おまえのために死んでもいい
平凡な顔、運動神経は鈍く、勉強も得意ではない――何の取り柄もないことに強いコンプレックスを抱いて生きてきた八目晃は、非正規雇用で給与も安く、ゲームしか夢中になれない無為な生活を送っていた。唯一の誇りは、高校の同級生で、カリスマ性を持つ野々宮空知と、美貌の姉妹と親しく付き合ったこと。だがその空知が、カンボジアで消息を絶ったという。空知の行方を追い、東南アジアの混沌の中に飛び込んだ晃。そこで待っていたのは、美貌の三きょうだいの凄絶な過去だった……
感想:★★★★★
コロナ禍じゃなければ「アジア行きたいな~」って気持ちが盛り上がって……みたいな感想になるところだったと思うんですけど、今、カンボジアも簡単に行けない中で読むとちょっとしたトリップ気分を味わえてすごくよかったです。
前半は八目のダメさが重く、キャラ的にもイライラするなと思ってみてましたが、脅されてからは「無知で楽観的」ゆえに転がりだすのが早く、カンボジアについてからの展開はもうページをめくる手がとまりませんでした。
トレンサップ湖、シュムリアップは私も行った場所だったので、情景が浮かび、物語が進むにつれ頭の中でまるで映画のように事態が進んでいき胸がアツくなりました。
カンボジアの裏側も見え隠れする後半はスリル満点
お金を取られたり、ゲストハウスでのくらしは想像できたものの、姉妹を探すうちに迫ってくる危険な気配、そして明らかになる兄弟の秘密にどんどん引き込まれていきます。
序盤に空知が死んだと伝えられるも、一筋の光を追うように、展開される物語。
同時に、大嫌いだった八目の海外での変化に共感し、アジアの自由さと「頑張らなくても生きていていい」気楽さを思い出しました。
また、日本人に見えない危険さや危うさも政治的背景などから見えてきてもうそのころにはこの物語が結構好きになっていて、いい意味で読んでいくほど想像を裏切られた作品でした。
最後は美しさと悲しみと何とも言えない気持ちに
カンボジアで乗ったトゥクトゥクや、タイで利用したトヨタ車のタクシー、僻地に交渉しながら行くときのドキドキを思い出しながら八目に魂だけついて移動し、まるで読後は自分も同行し、旅を終えたような気分になりました。
特に、空知と再開したときの嬉しさと悲しみと、残酷さと、そんな世界の危うさには特に度肝を抜かれましたね。
「こんな風に旅が終わってしまうなんて」と。
ただ再会してよかったねーじゃなく、この終わり方だからこそ、とても印象に残る作品になったのかも。
最後まで読むと、熱を残したまま放心状態になりました。
そこも最高に良かったです。
アジアの人の好さをおもいだしながら読んでたので、ばあちゃんたちを信じるかどうかで揺れる八目の気持ちにも共感してしまい、切なかった。
うだつの上がらない、むしろ冴えない「終わってる」とさえいえる八目を主人公にして、こんな衝撃的な物語を展開できるなんて、恐れ入りました。
ほかの作品も読んでみたいな~
そして、カンボジアにもまた行きたいし、タイやベトナムにも行きたくなりました。
早くコロナよ落ち着いてくれー!
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オトコノ本ノヨミカタ
つぶあんさんは海外に行ったことあるのかな~
八目の変化をどう感じたのかな~つぶあんさんの感想も楽しみです。
https://ytkglife.net/indrasnet-kirino-book/
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