皆のあらばしり(乗代雄介)さらっと読めるのにセリフが刺さる!

月に一冊、同じ本を読んでオトコとオンナでどう読み方が違うかを楽しむ書評コラボ。

本好き同士、毎月順番に一冊本を決めて一緒に読んで感想をシェアしているつぶあんさん(つぶログ書店)とのコラボです。

前回は私のチョイスで「残像に口紅を」を読みあいました。

※私の感想はネタバレありです。

【オンナノ本ノヨミカタ】

https://sakamotodappantyu.com/archives/dousisyoujyoyotekiwoute.html

【オトコノ本ノヨミカタ】

https://ytkglife.net/doshishojo-osaka-toma/

今回は私のチョイスで「皆のあらばしり」です!

目次

たぬきVSきつねの戦いに胸がアツくなる

<あらすじ>
ぼくと中年男は、謎の本を探し求める。三島賞作家の受賞第一作。幻の書の新発見か、それとも偽書か――。高校の歴史研究部活動で城址を訪れたぼくは中年男に出会う。人を喰った大阪弁とは裏腹な深い学識で、男は旧家の好事家が蔵書目録に残した「謎の本」の存在を追い始めた。うさん臭さに警戒しつつも、ぼくは男の博識に惹かれていく。ラストの逆転劇が光る、良質のミステリのような注目作。

感想:★★★★★

面白かった。最後に差し掛かると自分でもわかるくらいににやにやしている自分がいて最高でした

小難しい題材を扱っているかと思いきや、登場人物の少なさでさらさら読める。

地味でニッチな内容ではあるけど、だれにも知られずに消えゆく「謎の書」をめぐる二人のタッグと化かし合いが最高。

主人公の気持ちになって、どんどん謎の関西弁中年男性に惹かれていくと同時にのめりこんで行っちゃいます。

小説は、こうやって「暇つぶしでしょ」みたいに読んでて、ぶっ刺さる節に出会って人生に影響したりすることにすごく意味があると思う。

この小説も、海辺散歩してたらキラキラのガラス石を見つけて大事に持ち帰る、みたいな気持ちになった一冊でした。

私はこんな人間になりたい

巷にあふれる薄っぺらい定型の人生論には共感できませんが、この中年男の人生哲学はめちゃくちゃ刺さりました。

要領がいいと言われる人は、こうやって生きてるのよね。

私もそうやって生きたい。

読み終わるとうっかり、中年男性と主人公のこれからも気になるよね。

好きなパンチライン

ちょっとでも刺さった人は、読んでほしい。人生ちょっと変わるかも。

傾向と対策なんちゅうもんは、埒外の努力ができん凡人の悪あがきやで

P17より

私は、忘れてたものを思い出させてもらった感覚で読みました。

打算っちゅうのは十中八九、空ぶるもんや。大半の人間はそこでやめてまうから打算に留まるんやで。それを空振りしてなお続けてみんかい。打算でやっとったら割に合わんことばっかりなんやから、そんな考えはすぐに消え失せるわ。積み重なる行為の前には、思考や論理なんてやわなもんやで。

P60

これを機に、同作者のほかの本も読んでみます~

オトコノ本ノヨミカタ

つぶあんさんはどう読んだかな~!

https://ytkglife.net/minano-arabashiri-norishiro/

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1986年高知生まれの五黄の寅年、3児の母。 転勤族の妻でうっかり新潟で家を買って辞令を震えながら待つ身。 家買ったら転勤のジンクスに負け、両親、義両親に続き旦那が本州から離脱。 2023年4月から「絶対に倒れてはいけない3人ワンオペママ」ライフがスタート。鼻血。
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この記事を書いた人

1986年高知生まれの五黄の寅年、3児の母。
転勤族の妻でうっかり新潟で家を買って辞令を震えながら待つ身。
家買ったら転勤のジンクスに負け、両親、義両親に続き旦那が本州から離脱。
2023年4月から「絶対に倒れてはいけない3人ワンオペママ」ライフがスタート。鼻血。

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