ミステリだけど子どもの頃の視点を取り戻せる良作「ザリガニの鳴くところ」ディーリア・オーエンズ 訳:友廣純

月に一冊、同じ本を読んでオトコとオンナでどう読み方が違うかを楽しむ書評コラボ。

本好き同士、毎月順番に一冊本を決めて一緒に読んで感想をシェアしているつぶあんさん(つぶログ書店)とのコラボです。

前回は私のチョイスで「影裏」を読みあいました。

※私の感想はネタバレありです。

【オンナノ本ノヨミカタ】

人を裏切り生き続ける人はどこに行くのか。第122回芥川賞受賞作「影裏」沼田真佑

【オトコノ本のヨミカタ】

【コラボ書評】「暗さ」を描くことで光が見える: 沼田真佑『影裏』

今回は、つぶあんさんのチョイスで「ザリガニの鳴くところ」です。

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自分の宝物だった羽や貝殻のことを思い出した

<あらすじ>

ノース・カロライナ州の湿地で男の死体が発見された。人々は「湿地の少女」に疑いの目を向ける。6歳で家族に見捨てられたときから、カイアは湿地の小屋でたったひとり生きなければならなかった。読み書きを教えてくれた少年テイトに恋心を抱くが、彼は大学進学のため彼女のもとを去ってゆく。以来、村の人々に「湿地の少女」と呼ばれ蔑まれながらも、彼女は生き物が自然のままに生きる「ザリガニの鳴くところ」へと思いをはせて静かに暮らしていた。しかしあるとき、村の裕福な青年チェイスが彼女に近づく…みずみずしい自然に抱かれて生きる少女の成長と不審死事件が絡み合い、思いもよらぬ結末へと物語が動き出す。全米500万部突破、感動と驚愕のベストセラー。

感想:★★★★

ミステリかと思って構えてたら、想像を絶する美しい自描写の物語ですごい勢いで引き込まれて行きました。

青年の死、湿地帯、親に捨てられた少女……読む前に与えられてた情報は確かなのに、読み進めるほどにシートン動物記を読んでる様な気持ちになるなんて想像もしなかった。

洋書は、登場人物が覚えられなくてすすまないこともあるんですけど、この物語には人物よりも生き物が出てくるからすいすい読めました。

人が好む美しい景色ではなく、人の避ける湿地帯の話。

なのに情景は本当に美しくて、私も、何も持っていない頃の鳥の羽が宝物になった時の気持ちや、川を渡った時のこと、大好きな花が咲く場所を思い出してしまいました。

そうやって、社会に入る前の人の話に添って物語は進んでいくのに、大人になるにつれ、恋をするようになるにつれ、その世界は危うくなってしまう。

それも自分の思春期と重なって胸が苦しくなる部分も。

想像していたよりも色んな角度から楽しめる物語でびっくりしました。

孤独は人を追い詰める

もう一つ、実感したのは孤独の怖さ。

一人になる怖さは、人をこんなにも追い詰めるのかというのを本の中で感じました。

この本を読んで「今は家族といるけど、死ぬときは、一人なんだな」と少しナーバスになったほど。

その分いつも孤独を感じない生活をしているんだなと自分を顧みる機会にもなりました。

最後の裁判からの展開も胸をドキドキすさせるスパイスとして印象的。

ほんとうにおもしろい一冊でした。

オトコノ本ノヨミカタ

つぶあんさんの批評が気になります!

【コラボ】ローカルなアメリカと少女の成長の物語ディーリア・オーエンズ『ザリガニの鳴くところ』

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2 件のコメント

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