前日にお昼寝用布団を買いに走り、
夜に息子の持ち物に名前を書いていく。
「ああ、お母さんみたい」
そんなことを考えながら、息子に話しかける。
「ちょっと離れるけど、君にも新しい体験にもなるし、
楽しそうなところだから大丈夫よー」
自分に話しかけるような内容を抱きながら伝える。
境内に車を入れ、大きな木々のその奥にある保育園。
わたしの緊張が伝わるのか、不安そうな顔を少しする息子。
園内に入ると、園児の大きな声や、楽器の音が耳に飛び込んできた。
「うわあああああ」
とびっくりしたような声を上げる息子にわたしも少し驚き、
乳児室へゆっくり歩いていく。
先生に息子を渡す。
「あら、笑ってくれた!もう寝そうね」
みんな泣いて困ると言ってたのに、すんなりお別れ。
「では、1時に来ますね!」
病院で用事を済まし、カフェでラテとドーナツを買い、雑誌を2冊読んだ。
まだ、時間がある…
あずける前は、「さびしい」「離れるのか」「可哀想かな」なんて思う気持ちもあったが、
本来わたしは一人が大好きじゃないか。
それすら忘れるなんて、以前のわたしから本当に遠いところまで来たんだなと思った。
1時に迎えに行ったら、
「あんた誰?」
みたいな顔で息子に見られた。
抱きしめると、保育園の匂いがした。
不思議な体験をしたみたいに、帰りの車で息子は、
「フーアー、アアー」
と一人でしゃべっていた。
哺乳瓶でギャン泣きしたらしいけど、
それ以外はあんまり辛そうじゃなくてよかった。
一緒に、新しいことにも慣れていこう。
そしてわたしは、少し、わたしに戻ろう。
戻ってきた息子を遠く感じる。
あやしていると、また近くなるのを感じる。
人はずっと一緒じゃなくて、近くなったり、遠くなったりしながら付き合っていく。
先生や旦那に頼りながら、
そうやって育てていこうと思う。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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プロフィール
高知出身の1986年生まれ(五黄の虎)
18歳で脱藩、京都、金沢、富山高岡、能登半島住の転勤族。北陸か高知に大体おります。いつの間にか本籍は新潟県佐渡島に。一児の母。
元肉食系広告代理店勤務だったので、恋愛やお店のPRに関してのアドバイスが得意。
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