月に一冊、同じ本を読んでオトコとオンナでどう読み方が違うかを楽しむ書評コラボも6本目になりました。
一緒にコラボしてくれているのは本のプロつぶあんさん(つぶログ)です。
前回は男女平等に振り回された女の本音がつまったこちらをつぶあんさんが選んでくれました。
https://ytkglife.net/danson-josi-sakai-junko/
さて、今回は私が選ぶ番!
オトコトオンナノホンノ読ミ方~オンナ編~
恐妻家って、悪口なんでしょうか?
でも、その響きには言葉にならない愛が裏に隠れている気がしますよね。
そんな風にされても嫁が好きっていう…?違う?笑
そんなこんなで、今回は久しぶりに小説でいきたいなーと思い、これをチョイス!!!
外では華麗に仕事をこなすが、家では音をたてないように魚肉ソーセージを食べるお父さんの物語
「兜」は超一流の殺し屋だが、家では妻に頭が上がらない。一人息子の克巳もあきれるほどだ。この物騒な仕事をしていることは、もちろん家族には秘密だ。克巳が生まれた頃から、兜はこの仕事を辞めたいと考えていたが、それは簡単ではなかった。「辞めるにはお金が必要です」という仲介役の言葉を受け、仕方なく仕事を続けていた兜はある日、爆発物を仕掛ける計画を立てていた集団の一人を始末せよ、との依頼を受ける。標的を軽々と始末した兜だったが、意外な人物から襲撃を受け……(「AX」)。「AX」「BEE」「Crayon」に書き下ろし「EXIT」「FINE」を加えた計5篇の連作集。『グラスホッパー』『マリアビートル』に続く、殺し屋シリーズ最新作。
角川プロモーションHPより
感想:★★★★
超、面白かったです。
さすが、伊坂幸太郎!よっ!と言いたくなる一冊でした。
展開が読めないのに、すごくいいところに落とし込んできてくれて、ダークな殺し屋という仕事を扱っているのにとても爽やかに読めてしまう。
面白い。
300Pありますが、一気読みしてしまいました。
妻という理解不能な生き物
外で殺しの仕事をして、家に帰って音をたてないように(カップ麺は音がしすぎるのだそう)、魚肉ソーセージをほうばる夫。
殺し屋兜の家での立ち振る舞いには、うちの旦那も超頷くんじゃないないかなと思いました。
恐妻家のつもりはなけど…
その日の機嫌によって地雷が違い、どこが地雷かわからない妻と話をするのはさしづめ綱渡りの様だと夫は思うみたい。
選択を一つ間違うと、「え?きいてなかったの?」「どういうこと?」「不満なの?」と思ってもいない角度から責められる。
そんな妻に気を使いまくる夫を見てる息子もその様子を気にしている。
[aside]「親父はさ、よくそんなに、おふくろにペコペコできるよな」
「ペコペコしてる?労っているだけだ」
P108[/aside]
私もずいぶん大人になったけど、親への「なんで?」「どうして?」は、結婚して、子どもができるまで分からないものが多かった。
そして今もわからないこともあるけど、それもここからまた向こう側に行かないと見えないんだろうな。
大人になって友達を作るのは難しい
兜は時々、友達について考える。
仕事以外で一緒に遊ぶ友達がいない男性は多いんじゃないだろうか。
そんな中、友達ができかけるんやけどいつもうまくかみ合わずそのまま離れたり…
友達になれるかとおもった人が実は…とか大人になって友達を作る難しさを読みながら感じました。
わかるー。
学校のころみたいに一緒にいる理由なんて利害がからまんとそんなにないから友達を作るのってむずかしいがってね。
謎を抱えた恐妻家の殺し屋の息子は…?
物語の中で、兜はサラッと死んでしまうんやけど、そこから息子の話が始まり…
ここからがすごくおもしろかった。
兜はプロで、色んな形跡なんてほぼ残していないんやけど、父の部屋を整理しているうちに、息子がカギを見つける。
「もしかして浮気?」
という線から真実に近づくために息子は行動し始める。
もうここらへんもめっちゃわくわくしてページをめくる手が止まらなかったです。
一番印象に残ったのは…
私が一番印象に残ったシーンは、家にできたスズメバチの巣を、朝早く起きて退治する話。
妻の心配事を取り除かんとするために、文字通り必死でスズメバチに挑む兜の息遣いが聞こえてきそうでした。
真夏に、服をきこんでパンパンになり、ハチと戦う兜、かっこよかったなー。
家族を守るために、子どものために。
AXは殺し屋の部分もしっかり描きつつ、その見えにくい日常が垣間見える作品として、面白いのかもしれない。
しかもその日常は、共感できすぎる笑
オトコノホンノ読ミ方
というわけで、オトコノホンノ読ミ方、つぶあんさん(つぶログ)の書評はこちら。
https://ytkglife.net/isaka-kotaro-ax/
どうぞ、合わせてお楽しみください★
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