お互いが100%好き同士だから結婚するわけじゃない。心が離れたり、愛おしくてたまらなくなったり、そういう波の中に、”結婚”があり、それはとても不安定なことがわかる
付き合って3年半、同棲して早1年ちょい、増えたのは愛情よりも体重だった坂本です。
今日紹介する本は、「この人でいいのかな」とかマリッジブルーぎみにおすすめの一冊です。まあ、それ以外の人にも読みやすいのでおすすめ。どんな小説家というと、釜玉うどんとピーチジュースが飲みたくなる小説です。
内容(「BOOK」データベースより)
世界が私たちに恋をした―。別に一緒に暮らさなくても、二人がたどる道はいつも家路で、二人がいる所はどこでも家だ…。互いでしか癒せない孤独を抱え、剥き出しの世界へと歩き始めた恋人たちの旅立ちを描く。限りない清らかさと生きることの痛みに彩られた静謐な愛の物語。
きらきらしてまぶしそうな説明書いてますが、普通の恋愛小説かといわれると結構、あれです。ゲスい言い方をすれば小学生の頃にことを済ませてしまった隣どおしの幼馴染のような男の子の唯一の肉親が死んでしまって弱っているの見て、しかもハード系信仰宗教に入ってるパパが彼をさらいに来るかも…そうだ、結婚しようと思ったけど、まだ若いし、揺れるかもしれないよー私みたいなスタンスも捨てず、まあ、結婚するしハネムーンに行ってこようって感じでいろいろ思うところがあるという話です。
不安だった。不安な時にひまにしていると、体から心が離れて、どんどん不安に力を与えてしまう。
そしてその不安は何らかの行動に私を誘おうとするが、それはたいていろくな結果を呼ばない。(本文より)
取り返しのつかないことをしないように。
取り返しのつかないことなど、人はよく自分の心をなぐさめたいのかなぜか言うけれど、取り返しのつかないことはたくさんある。ほんの少しの手違いで、うっかりしただけで、取り返せないことがたくさんある。命がかかわっている場合は特にそれを思い知る。~省略~取り返しがつかないことがいくらあっても、生きていくしかないということだけを、人は言うことができる。(本文より)
この小説は正直ネタバレでいいと思っています。この小説の魅力は、「よしもとばなな」が子供が生まれる前の「吉本ばなな」だった頃のちょっととがったかんじの”見えないけど確かにある不安”を使う描写がよく出てきつつ、少女マンガのようなロマンチックで自分に酔ってる感じの描写になぜか共感してしまい、そうだよな~と思うような小説だからです。
時々、私たちはこのまま、このよそよそしさのまま、こうやって少しずつ離れてゆくのかもしれないな、と感じることがあった。(本文より)
真っ白な光の中で、少し酔いが回って、少し眠くなりながら歩いていた時、故郷の小さな庭から解き放たれ、見たこともない木々に囲まれながら、古い歌をくちずさみ、……突然、裕志の不在ををかつてないほど強く感じた。そして、やはり私たちはもう絶対に離れてはいけないと、狂おしくおもった。
~省略~
目の前をいろいろな人々が笑いさざめきながら通っ行ったが、その時の私ほど熱烈に幸せではなかっただろう。 (本文より)
とりあえず、このまま結婚か、このひとでいいかとか悩んでいるなら、女友達に相談しても、この”ハネムーン”を読んでも同じくらい価値があると思います。どうせ、いやになったり、好きと思ったりの繰り返しがくるっていうのがよくわかるので。
そういえば、中学生か高校生の頃に読んだこの小説で子供に「まなか」とつけたいなと思ったりしていたのを不意に思い出しました。あのころは世代も一緒で恋だの結婚だの言ってるのおねえさんでも見るようなあこがれがあったけど、今は主人公がぐっと年下で、ああ、女はずっとそうやってふわふわしてるもんだよとかスナックのママみたいな目線になって読めて面白かったです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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