【インタビュー】まちづくりのゴールって?「人が自立して思うこと、求めていることがまちの向いている方向だといい」森山奈美さんにきいてみた

森山奈美

北陸3つ目のまちで、民間のまちづくり会社の人たちと知り合った。

「まちづくり」ってなに?

ぼんやりしたテーマの中身を知りたくて、最近、『市民の大学』を作った、

株式会社御祓川の女社長、森山奈美さんにアポを入れた。

目次

ズバリ、まちづくりのゴールってどこなんですか?

企業だとわかりやすい経営目標として数値などがありますが、

“まちづくりのゴール”ってどういうものになるんですか?

ゴールを設定するというよりは、
マイルストーン
(※物事 の進捗を管理するために途中で設ける節目)っていう感覚かな。

とりあえず、ここまでいくっていう

今回市民大学のキャンパス、bancoができたことによって

まちの人たちがまちのためにここで学んで、

まちが変化していくのが目的なのかなと思ったんですが。 

        

まちの人に意識をもってもらうのは大事かなと思っていて。

“まちづくり”で●●のためのっていうのはないような気がするんだよね。

住んでる人のためなのかとか、

やってくる観光客や移住者のためなんかっていうけど、

両方に良くないとだめやろうと。

        

       

観光客が食べたって、地元の人が食べたって、
おいしいものはおいしいし、1000円のものは1000円でしょ。
地元の人のためになってるのが観光客のひともうれしいでしょ。

確かに、そうですね…

移住者であるわたしの目線からすると、ハードがあって、

関わってくれる、教えてくれる地元の人がいて、

祭りや、このまちの良さにほれ込んでいくかんじで

七尾がどんどん好きになりました。 


なるほど。

逆なんだね、住んでる人の視点と。   

もともとの住人からすると、祭りや文化、
楽しいものがあって、人がいて、ハードがある。

地元の人は与条件としちゃってるんだよね。

医療や職場や施設とかを。


そう思うと、ここ一、二年はすごく変わったよね。

能登留学で能登に来ていた大学生が「まちの人のための大学をつくりたい」と声を上げて、

【参考記事】

【インタビュー】過疎化が進む能登半島にインターン生が「能登に学校をつくりたい」と思った理由

それが形になって、

その間にもいろんな学生さんがまちと人と関わって…

流動的ですよね。

 

渦中にいるとわからないね笑

ほんとうですか?!笑

わたしは七尾に来て3年目ですけど、とても変化を感じるので、

まちに”まちづくり会社”があるってこううことかー!!って思ってます。

そのノウハウとか知りたい人、いろんな地方にいると思いますよ!

 

まちづくり大学の作り方とか?笑


最初、そんなことに興味がある人は私しかいないと思ってた。
ここ数年で、そういうことに興味がある人が結構いるっていうのが、大発見だよね。


      

移住も流行ってますもんね。

能登って現地体験プログラムや、先人者がいて、

移住コーディネーターと繋がれる。

体感して、選べるよってオープンに提示していて移住しやすい環境がある。

そういうのをbancoで行われている

イジュトーク(毎回ゲストが変わる移住者の集い)などに参加して間近で見ていると体感します。

 

そういうのを近くで見ていると、めっちゃ楽しいよね!

そうなんです!

bancoを作るって学生から案が出て、建物ができて、 


市民の大学になって、人が集まりつつある…

…でもきいてたらロジカルにガチガチ固めてるわけじゃなく

「あ、これやろう」で、がーって取り組んでいく感じなんですね。

 

そうなんです、すみません笑

でもそこの「動く」っていうのをインターン生にみてほしいなっていう。

調べてばっかりで知識を構築していくだけじゃなくて
おっちょこちょいでも動いた方がいい時もあるから。

最近大事にしているのは、

クリスチャン的には「御心をきく」っていうんだけど、

チューニングするっていうか…

心が向く方向を知る。

 

うん、自分がどうしたいかよりは、自分に来てるメッセージを読み取る。  

      

真逆なんだよね。みんな「どうしたいか」がなくて困ってる。
「何がしたいの?」「どうしたいの?」が答えられなくて困るみたい
なんだよね。

そうじゃなくて、自分に来ている信号をちゃんとキャッチする能力の方が実は大事。
自分の中から湧き出すっていうのはあとからなんだよね。


その時は自分でコントロールが効かないくらい、
「したい!」ってなってたら正解。

普通は自分でブレーキがかかるんですよ。

「これで食えないんじゃないか」とか。

考えて止まるくらいならそこまでなんだよね。

考え抜くっていうも大事なんだけど、

考えすぎると鬱っぽくなっちゃうし。

それよりはいい物質が分泌される方が結果、うまくいく。

うまくいくっていうのがどんなもんかもわかんないけどね。

まあ、社会全体でも正解なんてないんだから。        

       

みんな正解をだそうとするんだよ。

ないから!笑
                              

なのに、

「で、どうしたいの?」

ってきくと泣きそうになっちゃう。          

「どうしたいっていうか、どうしたらいいんですか?」って笑

結構みーんな、もやもやしたものを持ちながら生きてる。

七尾は好きだけど、大人は「仕事がないから出た方がいい」っていうし。

その土地で生きていきたいって気持ちはあるけど、

就職も、自分の気持ちよりはわかりやすい目先の損得で考える選び方になってる気がする。

うちらの世代はあるんですよね。

就職も安定していそうな、ネームバリューのある、こっちにしといたほうがいいみたいなものが。

 

でももうこんな時代になると損得じゃないんだよね。
自分にとってのメリットの大きい小さいであって。



そもそも、自分のものさしがないっていうのが非常に不安定。

自分のものさしがこれっていうのが解ると、非常に楽になる。

私は社長として自分のものさしがしっかりあるからか、

そういう意味ではわざわざあんまり思い切ったことをしている感じはないかな。

そのものさしを状況に合わせてあてがっていく感じ。

いきあたりばったりですね。

断固たるこの道、ビジョンを隠してるのかなと思ってました笑

 

違うよ、ない!笑

私のこころが向いているのは『七尾のまちづくりに関わること』、以上!

だからこそ自分の中には確固たるものは持ってるけど笑        

        

    

   

10年後、5年後のビジョンってありますか?

 

まちづくりの?…今からたてます!笑

(志はちゃんとあるけど)       

       

今持っている会社のビジョンと、
自分自身のミッションと合ってるから苦しくないのかもね。

そういう状態の方がいいと思ってやってます。

私以外でも、会社のビジョンと、個人のビジョンが近い人の方がいいと思ってて。

そういう状態になることをうちの会社のビジョンにしてる。

これってまちと人の関係でも言えてて、
まちの方向性と人や店のビジョンがなんとなく同じ方向を向いてるとすごくいい。
人が自立して思うこと、求めていることがこのまちの向いている方向だといい。
        

        

今までは社会全体の↑(ベクトル)はこうなはずなのに、

七尾とか地方は↑(ベクトル)のエネルギーが少なかったり、

向いてる↑(ベクトル)の方向が違ったりしてた。

個々が持ってる↑(ベクトル・志)がだんだん同じ方向を向くと

同じ方を向いた大きな↑ベクトルになる。

一人一人はあっちだたりこっちだったりするけど、

一歩引いて見て、全体の↑(ベクトル)を足して見ると大きな↑(ベクトル)になってるんだよね。

かといって、みんなが同じだと気持ち悪いんだよね。

少しずつ違うけど大きい流れになってることが大切。            

            

       

なるほど!

まったく見えなかったまちづくりの正体が少し見えてきた気がします!


どっかで、

「こうしなければならない」「こうすべきである」とか、そういう
勝手に作ったべき論に自分で自分を縛って苦しんでいるみたいなのが増えて
るよね。

インターンでくる子たちと関わっていて、学生たちも迷っているのを感じる。

私たちの時は人生の成功パターンがあった。

それが、今、もう崩れている。

今残っているのは公務員くらいなんだよね。

その公務員も本当にしたい仕事なの?

っていうところだよね。

安定した収入や不思議な安心感を得たい人はそれを選びがちだけど。

みんな何が欲しいんだろう。

安定した収入なのかな?

みんな自分らしく生きたいんだよね、結局。

で、その自分らしく生きてるってことが、
まちのためになってるってことが、
いい感じのまちなんじゃないかな。
 

うちの会社もそうなればいいなと思ってます。

うち、副業OKなんだけど、ちょっとずつ、みんなに個人事業主になってもらってって、

そっちでも自立でいるようになって、

うちとしての仕事はそれはそれとしてやるみたいになってったらいいなと思ってます。

“まちづくり”ってどうやってやっていくの?

 

よく地域活性化っていうけど、うちの会社では      

「まちづくり」を「まち育て」「人育て」って言い方に変えたりしています。

つくるってなると0から作るイメージがあるけど、
育てるになると行きたいところへの導き方になる。



とまってる状態を作るのじゃなくて、
動いてる状態をつくらなきゃいけないから。

ゴールってなると、たどり着いたところがとまるイメージなってしまう。
建物が建ったら、イベントができたら終わりとか。


そうじゃなくてずっと動いているイメージを作る感じ。

とめどなく。

活性化エネルギーがいるから、

それが外から入ってくる移住者だったり、情報だったり、
いい意味でエネルギーが混ざって、チャレンジが生まれる。

生まれ続けるってことが活性化しているっていうこと

それって、直線的なイメージになりがちだけど、

目指しているのは直線じゃなくて円のイメージ

循環していくような。

そうなんですね。

 

“まちづくり”では、

生まれ続けるっていうことがうまいこと回っている状態。

それをつくれればよくて。

大事なのが3つの循環。

資源、人材、地域経済が回ってるっていうのがさっき言ってた
『まちとみせとひとの関係がいいものになっている』っていう考え方。

こういう考え方って抽象的だと思うの。

その抽象的なことを、具現化したいなと思ってる。

精度を上げていくためにもっと地方同士でやりあえればいいんだよね。

「高知行って修行してこい」とかさ。笑 

温泉街の交換留学とかおもしろそうですよね。


いいね~やりたいね!

   

深いところまで、たっぷりとお話ししていただきました。            

わたしのなかでぼんやりしていた”まちづくり”の正体。

それは

一人一人の心の向き、

その心の集まったもの、

それがうまく回っていく状態でした。

とまったものをつくるのではなく、動き続ける、変化し続けるもの。

それが時代であり、ひとであり、まちなのかもしれない。

とても勉強になりましたありがとうございます!

わたしも一つの↑になるよう、

七尾の歴史と変化、おいしいものを、これからも体感&発信していきます!                   

                    

                  

【会社概要】

株式会社御祓川

HP→株式会社御祓川

FB→株式会社 御祓川 | Facebook

まち育て、みせ育て、ひと育てを行っている民間のまちづくり会社。

地元のものを取り扱うオンラインショップや、実店舗の出店プロデュース、新商品の開発、能登留学というインターンシップ制度など色々なかたちでまちづくりを行っている。

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高知出身の1986年生まれ(五黄の虎)

18歳で脱藩、京都、金沢、富山高岡、能登半島住の転勤族。北陸か高知に大体おります。いつの間にか本籍は新潟県佐渡島に。一児の母。

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1986年高知生まれの五黄の寅年、3児の母。 転勤族の妻でうっかり新潟で家を買って辞令を震えながら待つ身。 家買ったら転勤のジンクスに負け、両親、義両親に続き旦那が本州から離脱。 2023年4月から「絶対に倒れてはいけない3人ワンオペママ」ライフがスタート。鼻血。
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1986年高知生まれの五黄の寅年、3児の母。
転勤族の妻でうっかり新潟で家を買って辞令を震えながら待つ身。
家買ったら転勤のジンクスに負け、両親、義両親に続き旦那が本州から離脱。
2023年4月から「絶対に倒れてはいけない3人ワンオペママ」ライフがスタート。鼻血。

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