月に一冊、同じ本を読んでオトコとオンナでどう読み方が違うかを楽しむ書評コラボ。
本好き同士、毎月順番に一冊本を決めて一緒に読んで感想をシェアしているつぶあんさん(つぶログ書店)とのコラボです。
前回は私のチョイスで「正欲」を読みあいました。
※私の感想はネタバレありです。
【オンナノ本ノヨミカタ】
https://sakamotodappantyu.com/archives/seiyoku.html
【オトコノ本ノヨミカタ】
https://ytkglife.net/ryo-asai-seiyoku-colab/
今回はつぶあんさんのチョイスで「琥珀の夏」です。
美しいミステリの中に書かれる「親子」の価値観にぶん殴られた
<あらすじ>
大人になる途中で、私たちが取りこぼし、忘れてしまったものは、どうなるんだろう――。封じられた時間のなかに取り残されたあの子は、どこへ行ってしまったんだろう。
かつてカルトと批判された〈ミライの学校〉の敷地から発見された子どもの白骨死体。弁護士の法子は、遺体が自分の知る少女のものではないかと胸騒ぎをおぼえる。小学生の頃に参加した〈ミライの学校〉の夏合宿。そこには自主性を育てるために親と離れて共同生活を送る子どもたちがいて、学校ではうまくやれない法子も、合宿では「ずっと友達」と言ってくれる少女に出会えたのだった。もし、あの子が死んでいたのだとしたら……。
30年前の記憶の扉が開き、幼い日の友情と罪があふれだす。圧巻の最終章に涙が込み上げる、辻村深月の新たなる代表作。
感想:★★★
面白いんだけど、個人的に嫌な感じが薄かった。
私がミステリに求めてるグロさとか、人間の嫌な感じが、割ときれいに包まれたまま終わったのは「琥珀」っぽくて、タイトルや本のイメージとずれないんだけど。
個人的に「もの足りない」感はあったので★3。
母親と子どもの関係に関しては突き刺さるものがあった
今、ちょうど2歳4歳を育てているので、いろんな部分で自分と重なったり、気になる部分があった。
子どもは素晴らしいし、楽しいし、愛おしいけど、自分の人生を当然のように奪っていく煩わしい面もある。
仕事と違い、やりがいや達成感もない。
だから、子どもを預けて、ほかの子を見る親の気持ちもすごくすごくわかる。
壁一枚の距離や、仕切りがあるだけで割り切れたり、気持ちがかわるんよな。
子どもの成長のためって大義名分がある教育方法があれば、それを魅力に感じて、思考を止めることも楽よなって、正直親の気持ちもわかってしまう。
「子どものためを思って」
にできるしね。
今、仕事に逃げたツケがすでに回ってきてるきがするので、子どもと向き合わないことのリスクをふんわり感じてる自分にすごく刺さる作品でした。
親と離れる経験
そしてこの小説に引き込まれたのは、自分も、2泊3日くらいの子どもだけの合宿に小学校のころ、弟と参加したことがあるので、それを思い出しながら読みました。
しかも、この組織も高知にも施設があるって設定で、ちょっとゾクっとしましたよね。
子どもだけのあの感じ、今でもたまに思い出すことが私にもあるので(なんなら息子も行かせたいと思ってる、今でも)他人事じゃない気持ちで読んでました。
こういう自分が家族から離れる経験があるなら、たくさんさせてあげたい。
そして、帰ってくる場所として家庭を構えておきたい。
それを再確認させられる小説でもありました。
うーん。組織や、親の気持ち、そういうものは教育の中でどうしてもいろいろと出てくる。
色々とこれから子育てしていく中でも、どう接していくか、母親として理想と現実をどうすり合わせるか。
自分のことを考えさせられる一冊でした
オトコノ本ノ読ミ方
つぶあんさんの感想も気になります!
https://ytkglife.net/mizuki-tsujimura-book-review/
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