思春期に、山田詠美、吉本ばなな、内田春菊で形成されました、坂本です。
遠い記憶の向こうに沈んでいた物語が、映画化でふわりと浮かんできました。
しっとりした、あいまいな世界で少しだけ影のある物語、白河夜船。
昔からよく眠る子でしたが、読み返した休日も、寝落ちしながら昼の3時まで寝てから映画を見ました。
眠りに関して。
眠ることは大好きです。
親には、「あんた位ねよったら、脳みそが腐るで!」と言われる位、お昼まで寝る子でした。
大人になって、旦那にも、「また寝て」と言われますが、
「女はみんな寝るものやき大丈夫、ほら、これでもねゆうろう(色んな映画で)」
とすりこんで休日はもっぱら寝ています。
辛いとき、しんどいとき、眠りはゆりかごのように自分を連れ去って、どっか判らん世界にもってってくれる。
深く、浅く、深く、浅く。
そして、朝は絶対くるという優しいおまけつき。
それからも逃げたいときもあるけどね。
白河夜船あらすじ
寺子は不倫中。お相手の奥さんは植物人間状態。ある一定以上進まない関係に不満も真満足もしない宙ぶらりんな幸せをむさぼる日々が続く。親しかった友人が死に、その話を相手にできないまま、親友の死について思いをはせる日々。気付くと見えない無意識=眠りの世界にどんどん吸い込まれるように落ちていく。その先で出会ったのは…
好きな作品の映画化は少し緊張する。
でもこの作品に関しては、安藤さくらとアラタなので特に心配なし。
やっぱり…というか、直前に読み返したのもあり、世界観が少しリアルになっただけで忠実な作りとなっていました。
色が、私の想像するまんまですごく良かった。重く、どんよりした灰色。
冬を思わせる、重く、耐える抑えられた色。
そして最後のシーンの色が付くかんじ。
長いトンネルを抜けたような。
26年越しの映画ということで、時の流れはすごいし、そんな昔の映画をこんなに忠実に作ってしまうのも凄い。
素敵な映画でした。
昔は…というか今もほとんどエッセイ以外作品を読んでいるので吉本ばななファンなのですが、
10代に呼んだ頃の様な尖った惹かれ方というか、
気が狂うような愛し方を出来なくなっているなと、今回読み返して思いました。
作品を一言で切れば少女マンガ的。
でもやっぱり文章がしっとりとみずみずしく、美しい。
昔はその文体の虜だったのと、
恋や不倫がまだ見ぬ遠い物語として美化されていたからかもしれないなと。
本は自分の変化で受け方も変わる。
不倫にも色々あるんですね。
「そんな言い方って、ないでしょう」
「別れないわよ」
行く先が見えない恋のロマンは、当事者にしか、解らない。
そして、解らなくていいと思う。
色々言いたいことは出てくるけど、
「結婚・出産・幸せ家族」の頭になってしまったら不倫は敵なんだろうし、
自分が何者かわからなかったり、そういう時間を愉しんでいたり、
結局、目的なく暇な人にとってはとても楽しいゲームなんだと思う。
解りたいとは思いませんが、慕っているうちはそれは贅沢な時間なんだろうな。
話はだいぶそれましたが、原作ファンは時間があるとき是非見てみてください。
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