息子との散歩途中、学校帰りの女の子たちがアルプス一万尺をやっている。
気が付くと、私はもう三十路過ぎ。
生まれた家を出て、新しい家族がいる。
BBAだと自称しながらも、「大人か?」と聞かれると、今もドキッとしてしまう。
大人とはどのような人か
大学を出て働き始め、会社員になって、ストレスを感じたことの一つに、
「なんで大人なのに、ちゃんとしてないのだろう」
という憤りだった。
それは自分はもちろん、他人を責める時によく使う。
自分も周りも大人なのに…
大人なのに、時間に遅れる。
大人なのに、約束をやぶる。
大人なのに、嘘をつく。
大人なのに、意外といろいろなことを知らない。
それを受け入れるのに、子どもから大人になった私はかなり時間がかかった。
「課長なのに…」
「上司なのに…」
「いい大人なのに…」
そんな風に相手を責めて自分を正当化しようと必死に憤っていた。
自分が上司になり部下を持ったり、役職がつくようになったりしてやっと気づいたのは、「大人」はそんなに万能じゃないということ。
それを受け入れることができるようになって、私はすごく楽になった。
でも、たまに「こんな大人になりたいな」と思うような出会いがある。
ちゃんとした大人もいる。
20歳という年齢で、大人と子どもは区切られるけど、本当の大人と子どもの境目はどこだろう。
大人でいるために気を付けたい10のこと
大人であるためにはどんなことが必要だろうか。
私の思ういい大人って…。
1.あいさつができる
しょっぱなから子どもに言うみたいなことを書きました。
が、大事ですよね、あいさつ。
これができない人も、結構います。
過去にあいさつを無視されたとか嫌な思いをした人もいるかもしれませんが、あいさつは人とのコミュニケーションの第一歩。
気持ちよくあいさつできるのはちゃんとした大人になるために大切なことじゃないかな。
2.人の話を目を見て聞く
…小学校の教訓みたいになってきましたが、ちゃんとした大人であるためには、必須です。
大人は、経験値が子どもより増えます。
だから、大人は「分かった気」になりやすい。
「はいはい」と人の話を半分聞いて失敗するなんて日常茶飯事です。
聞いた気になっているのが「大人」でもあるので、ちゃんと人に向き合えるワンランク上の「いい大人」になりたいもんです。
3.人を受け入れる
赤ちゃんとして生まれ、自分を認識し、子ども時代は「自分」を認知し、知るのにたくさんの時間を費やします。
「自分探し」という言葉がある位、人であるには「自分」を知る必要があるのです。
では、大人は?
大人は、自分を知りつつ「人を受け入れることができる」ようにステップアップすることができると思います。
その証拠に、大人は社会に出て人と直接、間接でも誰かと関わりながら仕事をし、人を受け入れて家族やコミュニティ、友人をつくります。
自分一人でなんでもできる気になっている人は、大人になりきれてなくて残念。
たまには頼ったり、頼られたりすることで人の器は広がっていくと思います。
4.余裕がある
私が20代に周りの大人にプンプンしてた時って、ズバリ自分に「余裕」がありませんでした。
自分が持っているものも把握できず、とにかく楽しんだり、一生懸命向き合う行為こそに価値があると思っていました。
自分の満足なラインが定まっていなかったから、もらっても心が飢えて、時間も、お金も、心にも余裕がなかった。
思えば、声をかけてくれたり、助けてくれる人にはみんな「余裕」がありました。
ずーっとその余裕が自分にないことが悔しかったのを覚えています。
5.自分のものさしがある
自分のものさしという言葉を意識するようになったのは、なんにもない砂浜を美術館に変えてしまったデザイナーの梅原真さんがきっかけでした。
自分のものさしがないということは、自分の「幸せ」を知らない、自分がなにで満足するかを知らないということです。
だからいつも足りないと思ったり、何でも持っているのに不幸だと思ってしまう。
逆に自分のものさしを持っている人は、他人の評価は気にならず、満足できます。
自分のものさしを持っているのは、「いい大人」の絶対条件です。
6.人と自分を比べない
自分のものさしと通じますが、自分の満足するラインを知っていれば、他人と比べる必要はありません。
多少のマウンティングはコミュニケーションの一つの手段かもしれませんが、それに振り回されるのは愚かです。
他人と比べて満足しても、一過性の満足感しか与えられないことを知っているはず。
でも、初体験することはついつい人と比べて気になっちゃいますよね。
私は出産と子育ての2年くらいは人と比べまくりました。
「普通」って?と悩みまくりました。
出産と子育ては想像できない初体験だったから、久しぶりにその他人と比べた指標が欲しかったんですね。
今は多少は気になるものの、生きてりゃいいやとまた気にしなくなりました。
7.お金の大切さを知っている
私は長いこと知りませんでした。
結婚するときも、貯金はきれいに0。
正社員で働き、29歳にもなってお金は常にその場を楽しむかしのぐツール以上に考えることができていませんでした。
結婚という他人との船出のような状況になって初めて「お金今と未来を創るための道具」だとわかりました。
ただ、お金のことはまだよく分かりません。
一万円を持ってなくても、ネットでもカードでも買えるものがいっぱいあります。
お金が「信用」ということがもう少しよく分かるようになったら、ちゃんとした「いい大人」になれる気がします。
8.与えることができる
大人は経験も、ものも、お金も子どもよりは持っています。
年を重ねるほどに、何かしら持っているはず。
大人は、技術でも、お金でも、時間でも、足りない人に与えます。
自分の「ものさし」を持つから、自分にいるものといらないものが分かります。
与えたほうが、回した方が、伝えたほうが最終的に自分にとっていいことだとわかるのかもしれません。
でも同じ大人の年齢でも奪う人もたくさんいますね。
9.づつけられる
私が尊敬している友人に、転職せず、仕事を続けている人がいます。
つづけることは、案外難しい。
やめるのは、簡単です。
自分に合わないと思うものをつづける必要はないですが、好きなことでも、生業でも、つづけることができる人は、つづけられなかった人と見えるものが違うはず。
つづけられるものに出会うのも大変だし、なかなか巡り合えるわけじゃないけど、人との関係も、仕事も、好きなこともつづけられるのが「いい大人」のしるしじゃないでしょうか。
10.「好き」なものがある
好きなものが決まれば、添い遂げられます。
人でも、モノでも、趣味でも、仕事でも。
向き合えるものを持っているのは、大人の証拠です。
それがあれば、周りの人にあたらなくていい。
それがあれば、いやいや過ごす時間も減る。
それがあれば、慰めにもなる。
好きなものを知っている大人は、強い。
20歳になっても大人になれていなかったから辛かった
20歳になって、大人になったと勝手に思っていたけど、振り返るとそうでもない。
自分も、他人も大事にしていなかった。
そのくせ「友達」とか「恋」とか「自由」みたいな目に見えないものにすがみついて、支配されていたと思う。
大学を卒業して、今まで好きなことに使っていた時間をそれ以外の「仕事」に割くようになった。
好きじゃないけどやることが生活の軸になった。
「自分を殺す」テクニックを覚えたのもこの頃。
その方が上手くいくことが多かった。
とはいえ、「自分を殺す」ことが下手な私は仕事でも自我がはみ出しまくっていたと思う。
そういう意味では子どもと大人が混合する20代後半だった。
しんどかった。
今、大人になれているのか?
今も、「大人」になりたいなーと思っている。
「トランク一つで生きていく人生に憧れている」と言いながら、本棚の棚を買い足し、本棚をぎっちり埋めてすごしている。
なりたい「いい大人」な自分はなかなか遠い。
でも、それが三十路を過ぎた今の私。
今後、いやおうなしに経験は増えるだろう。
好きなものに、家族に費やす時間は増えるだろう。
その中でちゃんと「大人」っぽくなれるのだろうか。
このままでは、60歳くらいになってもちゃんとした「大人」に届かない気もする。
飄々としたおばあさんになる頃、自分の満足する「いい大人」になっていますように。
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