月に一冊、同じ本を読んでオトコとオンナでどう読み方が違うかを楽しむ書評コラボ。
…とうとう1年がたちました笑!
本好き同士でゆるく始めたこの試み…毎月本当に楽しく続けさせてもらってます!
本好きだからこそ、自分のテリトリー外にあまりでないきらいがあるので、この試みは新境地を楽しむのにうってつけでした。
いつも一緒の本を読んでくれるのは本のプロつぶあんさん(つぶログ)です。
前回は風に舞い上がるビニールシート(森絵都)を一緒に読みました。
【つぶあんさんの書評】
https://ytkglife.net/eto-mori-wind-book-collaboration/
【さかもとの書評】
https://sakamotodappantyu.com/archives/book-20.html
今回は私の大好きな青年失業家の田中泰延さんが好きな10冊の本に掲げていた一冊、中島らもの「水に似た感情」です。
向き合おうとすればするほど迷路に入っていく仕事と自分。分岐点はバリでの出来事だった
<あらすじ>
人気作家・モンクは友人のミュージシャンたちとテレビの取材でバリ島を訪れる。撮影はスタートするが、モンク自身の躁鬱と、スタッフの不手際や不協和音に悩むが、呪術師を取材し超常現象を体験した後、モンクも落ち着きスタッフもまとまる。帰国したモンクは親しい友人たちを誘い再びバリを訪れるのだが。リアルに迫りくる幻想体験を通じ、なぜか読むほどに心安らぐ小説。
感想:★★★★
ムンとする小説でした。
熱気と、狂気と、世の中の不思議な出来事と、仕事への熱意と本気。
男ならではという感じ。
でも底辺にタッチしてちょっと浮上していく流れは男版よしもとばななっぽいかな。
そういえば元カレも中島らもが好きやったけど、わかるなぁ、男、好きそう。
神の島とも、神を金で売った島とも言われるバリ島
バリに行ったことがあるので、懐かしいなとおもいながら読んでました。
同じインドネシアでもジャワ島とは全然雰囲気が違う。
アジア版ハワイ…でも宗教色やにおいが濃い感じ。
毎日なんかしらの宗教的なお祭りがあるような島やけど、披露されるバリ舞踊も観光向けに作られてて実は歴史は浅いとかね。
小説の中で、テレビの取材として色んな所を訪れるので、泊まったクタのビーチ沿いとか、しっとりとして存在感のあるウブドとかがよみがえってきました。
もう一回行きたいなーと思ったバリに、もう一回行った気になれるくらい濃い小説でした笑
人を壊すものは何か?
もともと躁鬱を持ってる主人公が段取り悪いバリロケで不眠と酒で制御不能になり、躁の状態のスイッチが入る。
読んでてもイライラするテレビクルーの仕事っぷりに、「地獄のミーティング」で活を入れ、そこから風向きが変わり、躁で走っている中で、バリの偉い呪術師に私生活を見抜かれ、御祓いが必要と言われる。
傾いてきていた人生の角度と、止められない酒と、仕事。
男の人が壊れる時って、こんな感じなんやなって思いました。
周りにいい人や、右腕、心を開けると思っている人がいても、ずぶずぶ落ちていくときは落ちていく。
酒も、仕事も、自分も多分原因なんやけど、それって動きながら解決するのって難しい。
今回、その御祓いがターニングポイントになるんやけど、それがなかったらと思うとぞっとする。
その手配とか、選択を主人公はさっさと自分でしてしまうところらへん、できる男の強さを感じた。
壊れながらも、走りながら戻そうとしていく感じ。
そういう意味で、壊れる話やのに、前向きなエネルギーをもらえるいい小説でした。
オトコノホンノ読ミ方
https://ytkglife.net/nakajima-ramo-book-review/
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