去年度肝を抜かれた映画は、「0.5ミリ」と「100円の恋」。
かっこいい。
旦那と100円の恋は見たけど、言ってた。
「かっこいい」って。
安藤サクラ、本当に凄い。
【参考記事】↓
【映画】イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ「百円の恋」
【映画】アンパンマンといい、岸田サワといい、高知はヒーローを産む。”死ぬまで生きよう、どうせだもん。”「0.5ミリ」
で、おばあちゃんちにあったので本を読んでみました。
原作者と、映画監督が一緒だったので、もう一度映画を見ている感じでした。
少し長めの映画だったけれど、本を読んで納得。
これ全部大事やもんなぁ…
【透明の中に薄くやさしいカラフルな光が差し込んだ明るくてきれいな作品】
介護ヘルパーとして働くサワはある日、派遣先で老人との添い寝を頼まれたことがきっかけで職を失ってしまう。住み慣れた街を離れた彼女は、見知らぬ土地土地で見つけた老人の弱みにつけこみ、おしかけヘルパーを始めるのだが…。死を見つめることで「今を生き抜く」ことが見えてくる。老人と女性との魂の交流を描いた至極のヒューマンノベル。
感想:★★★★★
3分間、胸を触って2,000円。
固定客がついて、高すぎると交渉されて1,000円に。
生で見たいといわれて「冥途の土産に…」と5,000円で…。
獲物相手に公園で人稼ぎするサワ。
老人たちのゆがんだ心の隙間に入り込み、生活を共にする。
現代社会は、心の隙間だらけだ。
お金は物質的なものを満たしてくれるけど、
仕事は存在意義をくれるけど、
そこからの生き方指南はなかなかされていない。
それらを手放し、劣っていく、崩れていく「自分の能力・自信・積み重ねてきたもの」と生きることが人生だと思うと、こわくなる。
「何も持たないこと」が強いとサワを見て、久しぶりに思った。
どうにかなる、どうにかするそのパワーをもらえる。
ホテルに到着するまでにすれ違った人々の顔はどれもマトモに見えたと同時に、この世の中みんな狂っているとも感じた。モラルを教え込み、集団行動や規律をおしつけるのが好きな学校や社会という名の箱の意図を裏返せば、みんな元々狂っているからなのだ。私も含めて、人間は壊れた美しい生き物なのだ。
P222
この作品を読んでいて感じた美しさはこの言葉でとてもしっくりきた。
不完全の中にある壊れた美しさ。
そこに意味と美しさを見いだせる様な人生が、笑って死ねるものなのかもしれない。
私という命がこの世に生まれて、私に関わる誰かは分からないけれど、そういう人達がもしいたのならば、その誰かが望んだように私は生きてきたのだろうか。もとより、私自身が望んだような生き方が出来ているのだろうか。もとより、私自信が望むような生き方が出来ているのだろうか。
私の赤ちゃんは生まれることもなく、死んでしまった。何も望まれる前に、望むこともできずに消えた。
それから私は死の足音がそこまで迫っている老人達に触れることで、自分の中にあふれている生を感じて生きてきた。中略
どうしようもないやるせなさが襲ってくるけれど、知性や理性がそのやるせなさや、人として道を踏み外すような欲望を抑え込んでくれる。それでも自分で抱えきれなくなった時、はみ出してしまう人もいるのだ。もしくは、最初から知性も理性も持とうとせず、人として生きることを放棄したのか。
P 230 231
介護や、老後だけじゃなく、今の生き方に詰まっている人にパワーをくれる美しい物語です。
読書苦手な人でも、映画もあるのでぜひ触れてほしい作品。
超、おすすめです。
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